近年、より多くの仮想通貨取引所でステーキング報酬を提供するようになったため、ステーキングは世界で急速に人気を集めています。しかし、これはステーキングに係る税金の影響について疑問を持つ人が増えていることでもあるのです。今回のガイドでは、ステーキング報酬の所得を計算し、国税庁にステーキング報酬に係る税金を申告する方法について説明します。
このガイドでは、以下のトピックを取り上げます
- ステーキングとは?
- ステーキングは課税対象なのか?
- ステーキング報酬の計算方法
- ステーキング 確定申告 書き方
ステーキングとは?
ステーキング(プルーフ・オブ・ステーク)は、マイニング(プルーフ・オブ・ワーク)に代わる方法と知られるものです。どちらもトランザクションを検証するために存在する方法ですが、仮想通貨をステーキングする場合は、このプロセスのために仮想通貨を一時的にロックします。その見返りとして、ステーク報酬がもらえる仕組みです。このようなステーキングで付与される報酬は仮想通貨であり、仮想通貨を多くステーキングすればするほど、より多くのステーキング報酬を獲得することができます。
仮想通貨業界でステーキングが主流になりつつある理由のひとつは、マイニングよりもコストとエネルギー効率がはるかに高いためです。業界第2位の仮想通貨、イーサリアムはプルーフ・オブ・ワークからプルーフ・オブ・ステークに切り替えたばかりです。言い換えれば、イーサリアムでステーキング報酬を得ることができるようになったわけです。しかし、ETHのステーキングを始める予定であれば、イーサリアムや他の仮想通貨をステーキングする際にかかる税金の影響について理解し、準備しておかなければなりません。
ステーキングは課税対象なのか?
日本では、ステーキングの報酬に対して雑所得税を納める必要があります。ステーキング報酬を取得するときと売却するときの両方で課税され、ステーキング報酬を受け取るときは、その時価に対して税金を支払わなければなりません。ステーキング報酬を売却する際は、取得時よりも価値が上がった分に対して税金を支払います。いずれの場合も、最大45%の所得税率で課税されるシステムです。
国税庁はこれまでステーキングを細かく分類してきませんでしたが、令和3年度に国税庁の仮想通貨に係る税金ガイドラインが更新され、ステーキングがはじめて明確に含まれるようになりました。この更新されたルールでは、ステーキングは仮想通貨のマイニングや貸し出しと同じように課税されると明言されています。
ステーキング報酬の計算方法
まず、ステーキングの報酬を受け取ることで得た収入に対して課税されます。ステーキングによる収入を計算するには、すべてのステーキング報酬の取得時の市場価値を求めなければならず、この値があなたのステーキングからの収入となります。市場価格のデータは、ステーキングに使用した取引所など、必ず信頼できる情報源を使用するようにしてください。
獲得したステーキング報酬を売却した場合、再び課税されます。これは2倍課税と呼ばれることもあり、ステーキング報酬の売却による収入は、取得時からの価格上昇の幅によって決まります。
2倍課税とは、同じ金額に対して二度課税される二重課税のことではありません。2回目の課税では、1回目に申告した所得額を必要経費にすることができます。必要経費計にすることで、課税される利益額を少なくすることができるわけです。
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例 仮想通貨ステーキングで31万円相当のイーサリアム(ETH)1枚を受け取った後、1 ETHを40万円で売却したとします。まず、受け取った31万円に対して税金を払い、売却益の9万円に対して税金を払う必要があります。 ~~
必要経費は総平均法か移動平均法で決定 しなければなりません。ステーキング報酬をどれだけ売却するか、他の取引でイーサリアムを取得したかによって、必要経費は変わってきます。
日本では最も一般的なのは総平均法であり、以下のように計算されます:
~~ 例 上記の例の続きで、以前2 ETHを20,000円で購入したとします。そして、1 ETHを400,000円で売却した場合、必要経費は310,000円ではなくなります。代わりに、すべてのETHの平均取得価格を求め、それを使って売却したETHの費用を決定する必要があります。
(20000+310000)/(2+1)=110000円が1ETHあたりの取得コストとなります。1 ETHを40万円で売却した場合、差し引くことができる必要経費は合計11万円です。したがって、290,000円の売却益が出る計算になります。
また、イーサリアムのステーキングで31万円を得たので、合計所得は60万円です。仮想通貨税金計算機を使って、売却前に所得を確定しておくのがオススメです。そうすることで、高い税金に驚かされることを避けることができます。
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ステーキング報酬の所得計算は、特に手作業では難しく困難なのが現実です。ただし、国税庁は暗号通貨の計算書を作成しており、この計算書を使用して仮想通貨とステーキングの収入を計算することができます。取引所から提供された年間取引報告書の情報を使って計算書に記入し、その後これを使用して、国税庁に仮想通貨に係る収入を申告することができます。暗号通貨の計算書は、国内取引所でのみ利用できる仕組みとなっているため、依然として多くの手入力が必要です。しかし、海外取引所の年次取引報告書をDivlyに作成させた場合は、暗号通貨の計算書を使用することができます。
あるいは、 Divlyなどの仮想通貨税金計算機を使って税金を計算することもできます。Divlyは、取引履歴や年間取引報告書をアップロードするだけで利用することができ、海外および国内取引所で発生した仮想通貨取引からあなたの総収入と必要経費を計算します。また、ステーキングによる総収入もチェックすることができるため、この情報をもとにステーキングと仮想通貨所得について、最終的に確定申告書に記入することができるようになっています。
ステーキング 確定申告 書き方
ステーキングの確定申告は、国税のオンライン納税ポータル「国税庁 確定申告書等作成コーナー」で行うことができます。ステーキングからの所得は他の仮想通貨の所得と一緒に申告する必要があり、確定申告はステーキング報酬を獲得した場合と売却した場合のいずれかを使用しなければなりません。
以下では、ステーキングに関連する確定申告の例を2つご紹介します。最初はステーキング報酬を受け取った場合、2つ目は売却した場合です。どちらの場合も、まず「収入金額・所得金額の入力」から「その他」を選択します。ステーキング報酬は雑所得に属しますので、ここで申告します。雑所得に移動したら、カテゴリーを必ず暗号資産にします。
ステーキング報酬の受け取りによる所得を申告
ステーキングにより収入を得た場合、必要経費が発生しない可能性は非常に高いです。取得した仮想通貨の収入金額に対して税金を支払う必要があるため、取得時の時価を利益額に計上します。
上記の例では、BinanceでETHのステーキング報酬を受け取ることで31万円を獲得しています。必要経費は発生していませんので、必要経費の欄は空欄で問題ありません。複数の取引所でステーキング報酬を受け取った場合は、使用した取引所名の欄に( ●●ほか)を追加してください。
ステーキング報酬を売却して得た所得を申告
ステーキングで受け取った仮想通貨を売却した場合、ステーキング報酬を受け取ってから売却するまでの間にステーキング報酬の価値が増加した金額に対して税金を支払う必要があります。これを行うには、売却した仮想通貨の市場価値または販売価格の合計を収入金額の欄に入力します。次に、総平均法または移動平均法を用いて、控除できる必要経費を決定し、必要経費欄に記入します。
上記の例で、ステーキングで 310,000 円を得た場合について説明すると、ステーキングで得たETHを全て売却して400,000円とした場合、この金額を収入金額の欄に記入し、次に必要経費を入力します。他のイーサリアムを保有しておらず、ステーキング報酬を全て売却するため、必要経費は310,000円です。
同じ年にステーキング報酬を受け取り、ステーキング報酬を売却した場合でも必ず両方を申告しなければなりません。仮想通貨がどのように課税されるかについて詳しく知りたい場合は、仮想通貨税金ガイドをご覧ください。